2021年8月9日月曜日

マタイによる福音書1章18~25節

 救い主イエス・キリストに一番最初にお会いしたのはマリアの夫となったヨセフではないでしょうか。家畜小屋で出産することになったマリアを励まし、生まれ出たイエス様を抱き、人間の中で一番最初に神の独り子に出会った、と言ってもよいでしょう。しかし彼が主イエスを受け止めるためには、「キリストの誕生の次第」として語られる苦しみがありました。婚約者マリアが聖霊によって身ごもったと告げられたヨセフの苦悩の深さはどれほどだったでしょう。順調であった人生は突然断ち切られたのです。しかも、そのことを誰にも相談できずに、「ひそかに」離縁しようと決意しました。深い孤独の中での決意でした。誰も頼れず、未来を見失い、離縁という仕方で何もかもを壊し逃げるしかなかったヨセフの孤独の中に、神の言葉が夢を通して到来します。孤独であり、何もかも奪い去られたと絶望するヨセフに、ただ神が語りかけられました。夢で告げられたのは、おそらくマリアからも聞かされていた内容です。しかしそこにある神の御心をマタイ福音書は「神は我々と共におられる」と記します。ヨセフのような絶望や孤独、誰にも頼ることができないとき、神はあなたと共におられた。そのことを告げられた時、ヨセフは一番最初に捨て去った「神の子を迎える」という道を選びなおしました。そして、神なき罪人というところから、神の独り子を迎えることで最初に救い主を迎える者、救われた者となったのです。

(2017年6月25日)

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